66回目の、終戦記念日の今日。
 リアルに戦争を経験した世代が、どんどん天に還られ…
 語りべが、いなくなります。
 あまりにも有名な写真ですが、敢えて掲載させていただきます。
 米軍カメラマンが撮ったもので、次のようにこの写真にコメントしています。
【【佐世保から長崎に入った私は、小高い丘の上から下を眺めていました。
 10歳くらいの少年が歩いてくるのが目に留まりました。
 おんぶひもをたすきにかけて、幼子を背中にしょっています。
 少年の様子はあきらかに違っていました。
 重大な目的を持ってこの焼き場にやってきたという、強い意志が感じられました。
 足は裸足です。
 少年は焼き場のふちまでくると、硬い表情で、目を凝らして立ち尽くしています。
 少年は焼き場のふちに、5分か10分も立っていたでしょうか。
 白いマスクをした男たちがおもむろに近づき、ゆっくりとおんぶひもを解き始めました。
 私は、背中の幼子が、すでに死んでいることに気づきました。
 男たちは幼子の手と足を持つと、ゆっくりと葬るように、焼き場の熱い灰の上に横たえました。
 まず幼い肉体が火に溶けるジューという音がしました。
 それからまばゆいほどの炎がさっと舞い上がりました。
 真っ赤な夕日のような炎は、直立不動の少年のまだあどけない頬を赤く照らしました。
 その時です。
 炎を食い入るように見つめる少年の唇に、血がにじんでいるのに気づきました。
 少年があまりにきつく噛みしめているため、唇の血は流れることなく、ただ少年の下唇に赤くにじんでいました。
 夕日のような炎が静まると、少年はくるりときびすを返し、沈黙のまま焼き場を去っていきました。背筋が凍るような光景でした。】】
 何度見ても……涙が出ます。