これ以上の裏切りは無い………。
以前働いていた横浜のお店で、素人新人で入店して来た“千夏(仮名)”を、講習した。
意気投合した私達は、ランチデートをしたり・オカマバーに行ったり・旅行をしたり、私にしては珍しく…プライベートでも仲良く遊ぶ、心を許す女友達になっていた。
私が、横浜の店から移籍した後…千夏が講習係を引き継いだ。 私が、J師匠や沙也加師匠…多くの素晴らしい人々から受け継いだ事を、全て彼女に託した。
『私が、よしのサンに…優しく厳しく教えていただいたように、私自身も新人さん達が困らないように、キッチリ講習したいんです!』
と、上流夫人に私が移籍した後も、何度も何度も『お客様』として…上級者講習を受けに来店して来る。
初心者講習・中級者講習・上級者講習と、主に3つの段階に分けて私は講習します。
初心者に、いきなり上級者のソレを伝えても…全く理解出来ない上に…
【むッ無理です(TωT)ウルウル。 そんな中国雑技団みたいな事出来ません。】
て、凹ませてしまうのがオチ。
そして、技だけは素晴らしく上手くても…本指名が返らない女の子達を沢山知っている。。。
技だけでも、色恋営業だけでもダメ。。。 本当に、深い深〜いお仕事…。。。 私自身も、まだまだ自分のダメさに………凹んで落ち込む事がよくある。。。
『ね〜、千夏…。 私が休みの日に、仕事での知りたい事は答えるから………わざわざお金払って、お店に来る事ないよ?』
ガハハハッと、千夏は笑い
【わかりましたよ(゜▽゜)、次回からはそうします。】
と答える……なのに、また来店する。。。。。
暫くお互い忙しくて会えないと
【そろそろミーティングしませんか(^_-)-☆。】
と、お誘いが来る。
私は、彼女が大好きだった。 職場仲間の域を超えて、彼女の存在は、私の中でとても重要なものになっていた。
こうやって、お婆ちゃんになっても一緒に遊んでいるんだと、疑いもしなかった。
2008年の冬、私達は二人で東北旅行に出かけた。 木村藤子さんに会う為の旅行だった。
楽しく、摩訶不思議な旅行。 お腹がよじれる程笑い転げ、美味しいお酒や地元の料理を沢山頂いた。
美しい景色も、不思議な景色も沢山見た。 …海の向こうには、北海道が見えていた…。
今でも、あの時の風の香り・空の色・海の色・寒立馬の瞳……ハッキリと想い出す。
東北旅行から帰って、ゲラゲラ笑いながら『じゃ♪またね(´∇`)ノ。』と東京駅で別れてから、わずか3ヶ月後………
………彼女は自らの命を、自らの手で終わらせた………。