時が経てば、傷は癒える。必ず癒える。 この一年、呪文のように心で唱えてた。
そして知る。 癒えない痛みもあるのだと。
それどころか、傷は更に深くなり…膿始めてる…。
色んなお店で、二人でランチを食べた。
『あぁ…ここ千夏と来たな。』『ここも来たな。。』
………突発的に涙が出る。 思い出が多過ぎる…。
誰かの歌にあった………癒えない痛みなら、いっそ引き連れて………と。
金を騙し取る?詐欺まがいの事をする?
金が欲しいのなら、私の持つ…僅かばかりの金でよければあげる。
陰で悪口を言う?裏で陥れる?匿名掲示板に、嫌がらせまがいの事を書く?
それで気が晴れるなら、どんどんやってくれ。
私に彼氏が出来たとして、それを寝取る?
どうぞ。どうぞ。 その男とは、それまでのご縁。 諸手を挙げて、サヨナラを言う。 新たな恋人と出逢うチャンスを、有難う。
……なんだっていいんだ。 もがき苦しんでいるから、何かにしがみつきたいんだ…。
そんな類は、可愛いモンなんだ。そんな類は、なんだって許せるんだ。
………生きていてくれれば、それだけでいい………。
この業界…自殺してしまう女の子や、精神安定剤の世話になってる女の子が多過ぎる。
最大の裏切り者は、自分を殺した千夏。 私は一生、アイツを許さない。
千夏は、不様に…恥知らずに…老いぼれ生き続ける私を…決して許すな。
半年過ぎた頃、千夏の母親から手紙が来た。
【私は母親失格です。 千夏が、よしのさん宛てに遺した遺書です。 千夏と仲良くしてくれて、有難うございました。】
遺書は、弱々しい筆跡で私をとても心配する内容で………最後に、少しだけ強い筆跡で“ガンバレ!よっちゃんマン!”て、書かれてあった。
アホか(ノ_・。)お前が頑張れ(−_−メ)。
あまりにも、私の住む横浜にフットワーク軽く遊びに来るから、住まいは近いのだと思っていた。
千夏が亡くなってから知る……千葉の鎌ケ谷市から2時間近くかけて、横浜まで来ていた。
そこまでして、私に逢う価値はあった? 私に何を求めてた? 貴女が“寂しい…”って電話くれたら、直ぐに駆け付けたのに………。
今日は、千夏の一周忌。
毎年、来るよ。 ヨボヨボの腰の曲がったお婆ちゃんになっても………命日に、墓参りに来るよ。
アンタに言いたい事は、まだまだ山ほどあるんだ(−_−#)! 足腰が弱くなったら、匍匐(ほふく)前進しても来るよ。
お墓は、亡くなった人達の為と言うよりは………遺された者達の心を癒す為に、存在しているような気がする。
私だって、いつ…どうなっちゃうかはわからない。
心折れずに生きる続けられる自信も、全くない。
けど…もう少し踏ん張って、また立ち上がってみる。
また今日、川崎堀之内温泉に迷い込んで来た、新たな女の子達が…
正しい仕事を覚えて、売れっ娘になって沢山稼げて………身も心も、健康なまま卒業出来るように。
堀之内で働けない事情が出来て、…吉原・すすきの・金津園・雄琴・熊本・沖縄………他の土地の、性風俗に流れ着いても…必ずや売れっ娘になるように………
J師匠・沙也加師匠に教わった全てを…、厳しいけど愛の沢山詰まったこのバトンを…何百・何千の女の子達に手渡す…。
まるでカルマを返すかのように…、身体的にも・精神的にも…過酷なこの業界に飛び込んで来た全ての女の子達が…
生まれて来てよかった。 生きていてよかった。 一瞬でも、心からそう思える日が来る事を願って。。。
2011年2月6日・千夏に捧ぐ
湯婆婆よしの